セロトニンと腸そして脾臓の意外な関係

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セロトニンは幸せホルモンとして有名である。
セロトニンの研究によりSSRIという
抗うつ薬が作られ日本国内で100万人以上が
使用していると推定されている1)。

また違法ドラッグのエクスタシー
と呼ばれるMDMAも
アンフェタミンと類似した化学構造を持つ。

SSRIとエクスタシーはともにに
セロトニン再取り組み阻害薬として、
機能することでセロトニンを増加させるとされる。

SSRIのうつ病の効果としては
軽度から中等度の場合、
臨床試験のメタ分析では懐疑的ではある2,3)。

セロトニンと身体の症状

セロトニンが不足すると
強迫性障害を伴うことがある。
反復行動や心配性などが
自分の意に反して生じてしまう状態である。

またセロトニンが過剰になると、
特異的セロトニン5-HT3の影響で、
下痢や嘔吐が生じるのが有名である。

このセロトニン。
実は脳関門を通ることができない。
要するに腸で作られたセロトニンは、
脳を通ることができず、
結局脳に作用することができないのだ。

では腸内のセロトニンは脳に関係しないのか。
実はこのセロトニンが脳関門を通れないのは、
健常者の場合。
病気の場合は脳関門を超え、
セロトニン濃度が上がることが発見されいる4)。

セロトニン受容体はいくつか種類があり、
その受容体の種類によって作用が分かれる。
5-HT1 インスリン量の調整
5-HT2 血小板のセロトニン量の調整 強迫性障害の要因
5-HT3 腸管のセロトニン量 下痢
5-HT4 便秘

ではこのセロトニン。タイトルの通り、
脾臓とはどうつながるのか。

セロトニンと脾臓

腸から漏れ出たセロトニンは
血液中にある血小板に99%飲み込まれる。
膵臓は血小板を貯蔵して破壊する働きがあるため、
脾臓の働きでセロトニンは除去されることになる。

脾臓は血液からセロトニンを最も
除去している臓器と推定されている5)。
現在それと矛盾する知見は他にない。

要するに腸内のセロトニンは血小板に飲み込まれ、
その血小板は脾臓で分解される。
そのため脾臓はセロトニンを除去する働きがある。

では脾臓を切除した場合は、
非常に強い体調不良となるのだろうか。
臨床経験上そのようなことはあまりない。
それほど支障ない生活を送ることは多い。

細かく言えばどこかしら具合は悪くなる。
血液の粘性は高くなり、
感染が増え、血糖は上昇する。
しかしそこまで大きな問題にはならないことが多い。

それは膵臓が幾らかの役割を
引き継ぐことができることと、
肝臓がいくつかの役割を引き継ぐことがある。

膵臓は脾臓の双子のようなもので、
代わりに調整する信号を送る。
そして脾臓には膵臓の幹細胞があるため、
膵臓に副脾を作ることもできる。

肝臓は数カ月以内に
血小板を除去するプロセスを引き継ぎ、
血小板の血を正常に戻すことができる。
血小板が調整されることで、
セロトニン濃度は正常になる。
ただ肝臓の機能は完璧ではないので、
糖尿病と血栓症は起こりやすくなる。

まとめ

セロトニンの濃度は非常に重要で、
過度な心配性の原因となったり、
腸内の下痢や便秘とも関係する。

セロトニンは血小板に飲み込まれ、
その血小板は脾臓で破壊する。
そのため脾臓はセロトニンを
除去している臓器である。

脾臓がなくても膵臓や肝臓が
代わりに調整してくれるので大きな問題はない。
ただし糖尿と血栓症には
なりやすいので注意が必要である。

1)抗うつ薬服用で攻撃性増す症状、厚労省が注意改訂へ.
YOMIURI ONLINE.読売新聞.2009
2)Jay C. Fournier, MA; Robert J. DeRubeis, PhD; Steven
D. Hollon, PhD; Sona Dimidjian, PhD; Jay D. Amsterdam,
MD; Richard C. Shelton, MD; Jan Fawcett, MD (January 2010).
“Antidepressant Drug Effects and Depression Severity”. The Journal of
the American Medical Association 303 (1): 47–53.
doi:10.1001/jama.2009.1943. PMID 20051569.
3)Kirsch I, Deacon BJ, Huedo-Medina TB, Scoboria A, Moore TJ,
Johnson BT (February 2008).
“Initial Severity and Antidepressant Benefits: A Meta-Analysis of Data
Submitted to the Food and Drug Administration”.
PLoS Medicine 5 (2): e45.
4)Winkler, T., Sharma, H.S., Stålberg, E., Olsson, Y. and Dey, P.K. (1995)
‘Impairment of blood-brain barrier function by serotonin induces
desynchronization of spontaneous cerebral cortical activity:
experimental observations in the anaesthetized rat.
Neuroscience 68, 4,1097-1104.
5)Mellinkoff, S., Craddock, C., Frankland, M., Kendricks,
F. and Greipel, M. (1962) ‘Serotonin concentration in
the spleen. Am. J. Dig. Dis. 7, 347–355.

Photo by Kyson Dana on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。