整形外科の不満は実は多い

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不満が45.2パーセント
整形外科に対する慢性症状の
治療満足度に対する調査である。
慢性症状に対してこれだけの人が
不満を持つというのは衝撃的だ。

命に関わる重大な病気やそれに伴う症状。
そして外傷による急性期での処置や症状緩和は
言うまでもなく効果を上げているものの、
慢性症状に関しては効果が出しにくい、
あるいは納得してもらっていないのが
現状と捉えても過言ではない。

慢性症状の治療満足度

45.2%が不満を持っている。
内訳は
・痛みがとれない
・理解してもらえない
・説明が納得できない  1,2)

このような内容が挙げられている。
急性期の症状は炎症や組織の損傷によるものが多く、
自然経過とともに自然治癒が生じる。
皮膚の傷が深い場合は縫合し、
骨折の場合は骨がずれないようギプス固定を行う。
骨折した骨がずれている場合は整復し、
骨がずれやすい場合や関節面、
骨の血行が遮断される場合は手術を行う。

しかし、経過をして傷の修復は
十分にできている時期にきても痛みが続く患者は多い。

急性期症状から慢性症状に移行する割合

外傷の自然治癒が終わっても、
痛みが続く患者は多い。
割合的には22.9%
5人に1人の割合となる。

なぜ痛みが続くのかについては、
ある程度メカニズムがわかってきている。
慢性疼痛のメカニズムとしては、
心理的な要因が現在注目されている。

通常の痛みは痛みの物質を受容器が受け止めると、
脊髄神経を通り脳の視床を介して痛みが認識される。
しかし、同時に感情に関わる前帯状回や島皮質、
扁桃体や前頭前野などにも伝導される。

これらの感情に関わる部分が活動すると、
脳からの痛みを抑制する働きが減少する。
ストレスにより交感神経が筋肉を収縮させ、
ノルアドレナリンが血管を収縮させ、
2次的な痛みが生じる。

場合によっては実際の痛みがない状態でも、
社会的なストレスによるものでも、
上記のメカニズムが作動し、
痛みを作り出してしまう。

心理的な要因以外には
日常生活による影響が考えられる。
腰痛や肩こりなどは同一姿勢の蓄積によって起こる。
固まっている組織を緩ませることで、
痛みは緩和するものの、
また同じ姿勢をとることで
再び再発すると言うものである。

この場合は症状が改善するかどうかは問題でなく、
日常生活でのどういう使い方が
痛みを生じさせるかの認識が重要である。

不満の対処

慢性症状の45.2%の不満の内訳は、
・痛みが取れない
・理解してもらえない
・説明が納得できない

痛みはとれたとしても使い方で再発しやすいこと。
どうすればよくなるかではなく、
どうすれば悪くならないかを知ることが大切である。

また理解してもらえない部分に関しては、
心理的な要因も痛みの原因になることから、
傾聴や場合によっては社会的なストレスに対する
認知行動療法なども有効な場合が多い。

人間関係の問題をどう捉え行動するか。
これはストレス対処する上でとても重要である。
自己防衛本能であるがゆえの認知の歪みが、
考え方の偏りを増強しストレスを誘発する。

理解力があり精神的余裕がある場合は
考え方の偏りを修正していく。
またそれが難しい場合は考えないように、
他のことに意識を向け
考えないようにするなどの方法がある。

これらの急性期の症状とは違った
痛みのメカニズムを説明することで、
説明が納得できれば
良い方向に行くのではないだろうか。

理学療法におけるクレームの原因

理学療法におけるクレームの原因は
どういったものが多いのであろうか。
これに関しては
・期待に添えない
・価値観が違う
・説明不足 3)

ここでも相手側の気持ちを
しっかりと理解することの重要性が示されている。
また同様に説明の不十分さもうかがわれる。
やはり心理面と痛みのメカニズムや、
日常生活の使い方が痛みに関係する点の
説明が必要不可欠になることが推測される。

当院における患者内訳

これらデータを見て、
当院における慢性症状の内訳を確認してみた。
運動器155名のうち
約80.6%が慢性症状の患者であった。
急性期症状の患者は改善することで、
理学療法終了となるが、
慢性症状の場合は長期化することも少なくない。

当院においても傾聴と患者のニーズに重きをおき、
心理面や日常生活における説明を
しっかり行えるよう対応している。

慢性症状であっても心理面と
日常生活における使い方を理解すると不安は軽減する。
痛みがあっても笑いながら、
「昨日は言われたてたけどまたやり過ぎて・・・」
そういった発言が見られれば、
患者はそれなりの満足度を
持って来院されている印象である。

患者は自分自身の役割を認識し、
療法士はしっかりと向き合い手助けする。
あくまで主役は患者であるが、
どうすれば良いかの道しるべには知識が必要である。
またそれを勇気付けるサポートも重要である。

慢性症状があっても
自分の心と体の理解をすること。
そうすれば痛みのあるなしに関わらず、
生活の質を上げることは不可能でないと感じている。

患者が自分の心と体を理解し生活する。
それのサポートをすることこそ、
本来の意味での
リハビリテーションにつながるのではないだろうか。

まとめ

慢性症状の患者の45.2%が不満を持っている。
そこには患者のニーズや価値観と一致した、
説明やアプローチがされていないことが予測される。

慢性症状の痛みは急性期症状の痛みとはメカニズムが違う。
心理面の問題や日常生活における関係性を、
わかりやすく説明することが必要不可欠である。

また慢性症状の痛みは1度改善すると、
2度と再発しないようなものではなく、
使い方によって変わってくることも伝える必要がある。

逆にいうと本人の使い方次第で
良くも悪くもできることを認識できれば、
痛みがあっても笑顔で生活できる日常は送ることができる。

一人でも多くの人が笑顔で生活できるように、
これからもそんな関わり方をしていきたい。

1)慢性疼痛患者調査研究会.慢性疼痛患者調査-
疼痛有訴率および受診状況等に関する調査-調査結果報告書,2009;1-16
2)松平浩ら:ペインクリニック 2011;32(9):1345-56
3)三宅克彦:理学療法におけるコンフリクト・マネジメント PTジャーナル
2014;48:935-941

Photo by ZACHARY STAINES on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。