歩行に関わる症状

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歩行時の症状の訴えは色々とある。
「足が重たい」
「つま先が引っかかる」
「横にふらつく」
「踏ん張りがききにくい」
これらの訴えをよく耳にする。

それらの症状から関連する筋を
予測することができれば、
評価をスムーズに進めることができる。

またその筋の筋出力が低下する原因がわかれば、
アプローチもスムーズに進むことができる。

また原因がわかれば、
日常生活での注意点も的を得たものになる。

今回はこれらの症状で関連する筋、
原因、そして日常生活について述べていく。

足が重たい

足が重たいという訴えは、
下肢を持ち上げるのが困難なことを表すことが多い。
股関節を屈曲させる働きのある大腰筋が関係する。

また大腰筋は腰椎を前彎させる働きもあり、
下肢を伸ばした背臥位で腰痛が出現したり、
歩行時に体幹伸展すると
腰痛が出現するなどの症状とも関係する。

大腰筋のリリースで改善する場合もあるが、
リリースで効果が不十分な場合や、
すぐに元に戻る場合は原因が別にあることが考えられる。

大腰筋が関係しやすい関節は第12胸椎椎間関節付近である。
これは大腰筋の起始が第12胸椎に付着し、
この部位が硬くなりやすいためである。

また大腰筋は腎臓の臓側筋膜と連結があるため、
腎機能低下も大腰筋に関連することが多い。

つま先が引っかかる

つま先が引っかかるという訴えも多い。
わずかなカーペットに引っかかった。
夜中にトイレに行っててつまづいた。
こういった声はよく耳にする。

これは足関節を背屈させる前脛骨筋が関係する。
前脛骨筋は背屈と内反に作用し、
腓骨筋とも筋膜上連結を持つことも多い。

腓骨筋と関係が深い関節は足根部の関節であり、
内側・中間・外側楔状骨などが関係する。
楔状骨周囲にある下伸筋支帯は、
深筋膜が肥厚して形成された繊維帯である。
Y字形の支帯は踵骨から舟状骨に至る範囲まで分岐しており、
前脛骨筋に影響を与えることが多い。

また内臓では膀胱と関係が深い。
膀胱は下腹部に位置し下肢前面の筋膜と繋がる。
前面の筋膜上のつながりを前脛骨筋が受けやすため、
膀胱の機能低下は前脛骨筋と関係が深い。

横にふらつく、踏ん張りがきかない

横にふらつく、踏ん張りがききにくいという訴えは、
大腿筋膜張筋の関係が大きい。
外側の安定性に関係するため、
ラテラルスラストとともに
膝の痛みを誘発することもある。

また大腿筋膜張筋は大腿二頭筋と筋膜連結があり、
さらに大腿二頭筋は大殿筋と筋膜連結がある。
そのため、大腿筋膜張筋の過緊張は、
大腿二頭筋や大臀筋の過緊張にも繋がることがある。

大腿筋膜張筋・大腿二頭筋・大殿筋は
腰椎・仙腸関節・股関節と筋膜連結がある。
また大腿筋膜張筋は末梢の立方骨と筋膜連結があるため、
立方骨の副運動低下も影響として大きい。

アプローチ

訴えに関連した筋が緊張している場合、
その筋そのものが原因であることは意外に少ない。
特別に運動することがあればそうかもしれないが、
多くの患者は変わったことはしてないし、
特に動いた覚えもないということが多い。

緊張した筋肉と筋膜上につながる
関節の副運動低下がないか、
また内臓に関連する筋膜の反射点を押さえて
緊張が軽減するかを確認する。

確認する方法としては
関節周囲の膜組織を押圧もしくは、
内臓の反射点を押圧し、
動作時の疼痛が消失するかを確認する。
また緊張した筋は筋力が低下しているため
(力張力の関係)関節周囲の膜を押圧もしくは、
内臓の反射点を押圧し、
筋力の改善が認められるかチェックする。

関連するのが関節であれば関節モビライゼーション。
内臓であれば周囲の膜組織のリリースを行うことで、
筋の緊張の改善、筋力の改善が認められれば、
同部が問題の原因であったと推測できる。

日常生活による問題

関節も内臓も同一肢位で圧迫が続くと膜組織が固くなる。
これは身体が運動性より支持性を求められることで
それに対して適応しているとも言える。

また内臓に関してはその臓器に負担をかけることも、
臓側筋膜の過緊張につながる。

腎臓の場合はアルコール、
水分、カリウムなどの過剰摂取で、
水分排出を強いられる状態で緊張しやすい。
また塩分の過剰摂取も浮腫みを生じ、
腎臓の緊張に影響を及ぼすこともある。

膀胱は最も下部に位置する臓器であるため、
他の臓器の負担も影響しやすい。
胃・腸に負担がかかり浮腫みが生じると、
下部に下がりやすく膀胱に圧迫を受ける。

大腸の場合は過食やアルコール、
添加物や香辛料などの過剰摂取。
腸内環境を悪化させるような要因や、
便秘や下痢なども関係する。

このように内臓は食生活などの生活習慣も関わるため、
より細かな問診や生活環境の把握が重要になる。
当然、過食にはストレスの影響も大きいため、
精神的な要素が根底にある場合も考慮する必要がある。

まとめ

歩行時の症状は多岐に渡るが、
「足が重たい」
「つま先が引っかかる」
「横にふらつく」「踏ん張りがききにくい」
などが訴えとして多い。

それぞれ「足が重い」は大腰筋、
「つま先が引っかかる」は前脛骨筋、
「横にふらつく」「踏ん張りがきかない」は、
大腿筋膜張筋・大殿筋・大腿二頭筋が
緊張し筋出力低下が関係することが多い。

ただ筋の緊張はその筋に問題があることは少ない。
周囲の関節や内臓とつながる筋膜に
伸張されることにより、
緊張し出力が減少することが多い。

大殿筋は第11-12椎間関節と腎臓。
前脛骨筋は足根骨と膀胱。
大腿筋膜張筋・大殿筋・大腿二頭筋は
腰椎・仙腸関節・股関節・立方骨と大腸である。

関係する部位を確認する方法としては
関節周囲の膜組織を押圧もしくは、
内臓の反射点を押圧し、
動作時の疼痛が消失するかをみる。

また緊張した筋は筋力が低下しているため
(力張力の関係)関節周囲の膜を押圧もしくは、
内臓の反射点を押圧したまま筋力テストをし、
筋力の改善が認められるかチェックする。

内臓が関係する場合は、
飲食物などが原因となることもあり、
さらに暴飲暴食は精神的な要素が
関係することも考慮する必要がある。

Photo by Andrei Lazarev on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。