動作を簡単に見るためのポイント

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動作を見ることの難しさ

動作を見るのはなかなか難しい。
「部分で見るんじゃなく、全体で見るんだ。」
「もっとここを見なきゃ。」
全体をみたり、
部分をみたりなかなか忙しい。

しかも何度も見させてもらうわけにもいかないので、
一度でスマートに見ていきたいものである。
では動作を見るコツというのはあるのだろうか。

まずは”聴く”こと

人が見えるものは
知っているもののみである。
膝に詳しければ膝ばかりに目がいくし、
脊椎に詳しければ脊椎ばかりに目がいく。

問題になる部分が
見ている部位と一致すれば良いが、
それだとただの運試しになってしまう。

身体のどこにフォーカスを当てれば良いのか。
まずは相手に”聴く”ことが近道である。

「歩く時に足が重たいですか?」(遊脚期)
「それとも踏ん張りがうまくいかないですか?」(立脚期)
またもっとオープンに「何か気になりますか?」
と聴いてみるのも一つの手である。

はじめから全ての情報を入れようとすると、
どうしても重要なものがわかりにくくなる。
それならばまず患者さんの訴えから、
絞り込むのも有効である。

動作を観察して問題をたくさん導き出すより、
患者さんの困っている問題を把握することの方が、
はるかに重要である。

それには患者さんをじっくり観察するよりも、
素直に患者さんから聴く方が
はるかに早いし簡単である。

この聴くということをしていなければ、
患者さんの気になっている症状と、
療法士のアプローチが的外れになってしまう。

電気屋にドライヤーを買いに行ったのに、
電車レンジをゴリ押しされているようなものである。
患者さんの気づかないところもあるかもしれないが、
まずは相手の気になっていることを聞いて損はない。

関節の動きの小さい部位から

患者さんに聴いて
問題を絞り込めることもあれば、
患者さん自身の感覚がわかりにくかったり、
表現が難しかったりする場合もある。
そういった場合は
こちらが動作を観察する必要がある。

ただあまりに多くのものを
読み取ることは難しい。
動きを見ながらどの関節がどの筋肉が
どういった動きをしているのか。
部分ではなく全体で・・・
それは現実的になかなか難しい。
これができれば達人である。

簡単に見ようと思えば、
まずはじめは関節の動きだけ見ていく。
「どこの動きが小さいか」
ここだけに着目することは容易だ。

どこのジョイントの動きが小さいのか。
それがわかれば動きの小さいジョイントの
近隣のジョイントが代償的に
大きく動いているはずである。

いきなり関節と筋肉の両方を見ていくのは難しい。
まずは動きの小さい関節を確認する。
動きの小さな関節がわかれば、
その周囲の関節で
動きの大きい関節があるはずである。

正常からの逸脱

動作を見る時の最後のポイントは、
正常からの逸脱を確認することである。

動きを見ていて、「なんかおかしい。」
と気づくことは容易である。

ではそのおかしいというのは、
いったいどこなのかを確認する。

これが正常からの逸脱した動きで、
先ほどの「関節の動きの小さい部位」も
これに含まれる。

正常から逸脱した動きとは
動く関節の動きが小さい、
曲がっている。伸びている。
外に向いている。内に向いている。
これらの正常から逸脱している部位に
着目していく。

動作を見る時は難しいことは考えない。
見たままを捉えるのが大切である。
そのため、この動作を見ている時は、
難しい専門用語や仕組みのことは
一旦考えないようにし、
まず「なんかおかしい。」から
どこがどんな風におかしいのか。
それが分かれば正常からの逸脱が
確認できていると言える。

動作が見えているかの確認

動作を表現するのは難しい。
日常生活で体の動きを表現することは、
なかなかないのも原因の一つである。

そのため動作を記述しようとしても、
うまく表現できないことも多い。

ただ記述できないだけなのか、
それとも動作が見えていないのか。
問題の原因は大きく異なる。

動作が見えているのかを確認するためには、
その動きを真似してみるのが一つの方法である。

しっかり見れている部分は忠実に、
真似をして再現することができる。
しかし、見れていない場合は、
その部分の真似がうまくできない。

例えば腰椎や下肢といった
下半身は真似できるが、
頭部や肩などといった部分が
真似できないのであれば、
その部分が見れていない部位になる。

こうして動きを真似することで、
見えているところと見えてないところを、
判別することができる。

どう評価につなげるか

正常から逸脱した動作というのは、
多くの場合、代償動作である。
「痛い」「硬い」「力が弱い」
「不安」といった理由があるから、
その代償動作をとることで
目的とする動作を可能としている。

短絡的にその代償動作を
戻そうとしてもうまくいかない。

例えば腰を曲げて下ばかり見る人。
腰は伸ばすと下肢にしびれや痛みが出るから、
曲げて歩いている。

単純に腰が曲がってるから、
腰を伸ばして、
下を向いてるから、
前を向くようにすればどうなるだろうか。

下肢のしびれと痛みが増強し、
足元が見えないことで不安になり、
一歩も前に歩けなくなってしまうかもしれない。

代償動作は無理やりに
正常に修正するのではなく、
正常動作に修正した時の
症状がアプローチのポイントになる。

症状の問題点として
「痛い」「硬い」「力が弱い」
「不安」といった理由が多い。
これは「痛み」「可動域制限」「筋力低下」
「心因性」と言い換えることができる。

これらは臨床上特に頻度の多い問題点で、
動作を阻害する優先順位もこの順で生じる。

痛みがあればまず動作は代償が入るので、
痛みは最も優先順位が高い。

次に可動域である。
可動域は痛みとも関係が深い。
また可動域に制限があれば
筋出力が低下するため、
筋力にも影響を及ぼす。

筋力は痛みや可動域制限があれば、
力が発揮できないため、
痛み、可動域制限の次の優先順位になる。

最後に心因性の問題になるのだが、
心因性ははじめに考慮してしまうと、
他の問題がバイアスが入り見えにくくなる。
そのため優先順位は一番最後に設定する。
心因性にこだわるよりも、
先に改善可能な部分を
アプローチするということが大切である。

まとめ

動作を見るのは難しい。
動作を見て原因を見つけるのは、
当たり前ではなく、実は達人レベルである。

ならば慣れないうちは、
”聴くこと”に徹底することである。
自分で思い込むよりも、
聴いて答えてもらう方が、
はるかに正確で簡単である。

それでもわずかな症状などで、
本人の答えが期待できないときは、
こちら側が観察する必要がある。

まずは”関節の動きの小さい部位”を確認する。
動作には多くの要素が関係するが、
全ての情報を取り入れようとすると、
かえって混乱してしまう。

”関節の動きの小さいところ”を
確認することができれば、
その周囲に動きの大きい関節があるはずである。

次に“正常からの逸脱”を確認する。
簡単にいうと「なんかおかしい。」を
見つけていくところになる。

どこがどんな風におかしいかが
理解できれば確認として良好である。

それぞれの動作は模倣が可能かで、
見ることができているかを確認できる。

これらの動作の観察は、
評価につなげていく必要がある。

代償動作を無理やり正常に
修正することに意味はない。
正常に修正した時に生じる症状が、
アプローチすべきポイントになる。

症状の問題点は「痛み」「可動性」
「筋力」「心因性」
の優先順位で展開される。

Photo by Erik Witsoe on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。