疼痛治療の卒業

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患者の疼痛治療はいつ卒業すれば良いのだろうか。
これは大いなる問題である。

使い痛みは休ませれば良くなる。
ただまた使いすぎると痛くなる。
こわばりや硬さは同一姿勢で生じる。
姿勢を気をつけたり動くように心がけると良くなる。

症状が一時的に消失しても
治ったわけではなく、
使い具合によって良かったり
悪かったりするのが特徴である。
これが患者もいつ卒業すればいいのか迷う理由である。

疼痛治療の考え方

整形的な疼痛は生活習慣病に似ているところがある。
ウイルスや炎症による内科的な問題は、
一度治ると症状は消失する。
整形的な疼痛は高血圧や高脂血症などと似ており、
生活習慣の影響で改善したり悪化したりする。
要するにどう調整していくかが大切である。

理屈どおりに休ませたり、
同一姿勢にならないようにできれば良いが
人間は感情があるのでそうもいかない。
楽しいことや美味しいものは度が越えやすいが、
人生にとっては最高のものである。
いくら痛く無くなっても
楽しくない人生には魅力を感じない。
それはQOL(生活の質)の観点からも
微妙なところではないだろうか。

具体的な対処

ではどのように考えていけば良いのだろうか。
私の場合はまず「痛みが出る仕組み」を理解してもらう。
使いすぎなのか同一姿勢によるものなのか。
患者さんの生活のどの部分に問題があるのかを、
可能な限り具体的に説明する。

次にどの程度気をつければ良いかは
本人に選択してもらう。
どういうことかというと、

「完璧に良い状態にしようと思えば、
”常に使い方を気をつける”必要があります。
ただそれは現実的には難しいと思います。
何よりそんな窮屈な生活は楽しくないでしょうし。」

「そこで”痛くなったら気をつける”から
始めてみるのはどうでしょう?
痛みがなくなるわけではないですが、
ものすごく調子が悪くなることは防げます。」

「それができるようになると”気をつけるたら
調子がコントロールできる”ことに気づけると思います。
できてくるとモチベーションも上がります。」

「もう少し気をつける割合を増やせば、
ぼちぼちまで持っていくことは
難しくないと思います。」

「体を気をつければ気持ちが窮屈になり、
ただ気持ちのままにいけば体に負担がかかってしまう。
要するに間をとってぼちぼちにもっていくのが
私としてはオススメと思ってます。」

このように説明すれば納得しやすいかもしれない。
完璧に絶好調に持っていくのは難しい。
プロスポーツ選手やオリンピック選手でも
試合当日に絶好調に持っていくのは難しいと言われる。
そんなトップアスリートでも怪我をすることすらある。
絶好調というのは気をつけていても訪れるとも限らないものである。

疼痛治療の卒業のタイミング

痛みが全くなく絶好調というのは非常に難しい。
使いすぎない、同一姿勢を気をつけるのはもちろんの事、
睡眠状態、心理状態、気候、食事や排便など
ありとあらゆることが関連していくる。
要するにお天道様次第である。

絶好調がコントロール難しいのであれば、
いかに絶不調をコントロールするかが大切である。

コントロールができるまで、
硬くなれば療法士のアプローチでほぐしたり、
疼痛の原因となる日常生活を見つけ出し、
一緒に作戦会議をしていくのが大切である。
日常生活の癖を改善することは容易ではない。
成功と失敗を繰り返していく中で、
知識があれば反省していくことができる。
自分自身で体の使い方のコントロールがわかり、
少々の悪化があっても精神的に動揺しないこと。
そして冷静に改善のための方法が導き出せれば
卒業することが可能と考えられる。

”今日で卒業”というのはプレッシャーになるので、
徐々に来院頻度を少なくしていくのがオススメであろう。
また痛みが悪化した時に注意点をメモに書いておくのも使える。
痛みが悪化すると冷静さを失いどうしていいかわからなくなる。
そういう時に注意点をメモしていれば、
それを見て再びコントロールすることが容易になる。

まとめ

痛みは生活習慣病のように生活によって変化する。
かといってあまりに常時気をつけるのは、
生活をする上で非常に窮屈である。
まずは”痛くなったら気をつける”
それができたらモチベーションも上がるので、
“もう少し気をつける”
絶好調は難しいのでいかに不調を
コントロールできるかがポイントである。
それが自分でできるようになれば疼痛治療は卒業である。

完璧な疼痛コントロールがQOLを高めるとは限らない。
体のために常に気をつけることは精神的に窮屈であり、
楽しみや喜びまで制限されることすらある。
ほどほどのバランスは患者の性格や考え方、
価値観に合わせてもらえばいい。
療法士はその選択肢をいかに的確に提供できるかが
大事なのではないだろうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。