夜に疼く肩の痛み

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夜中寝ていたら、肩が疼いて目がさめる。
そんな症状はとても辛い。
五十肩などでよく出る
夜間痛と言われる症状である。

五十肩の初期での炎症ともいわれるが、
実は炎症兆候がない夜間痛も多い。

炎症が起きると熱を持ったり、腫れたり、
赤くなったり、痛みを出したりの
炎症の4兆候が出現する。
また血液検査では炎症の目安になる、
白血球の増加やCRPの増加などが認められる。

しかし、それらの炎症兆候が認められないのに、
夜間に痛む夜間痛は一体なんなのだろうか。

肩峰下圧の上昇

2001年に小西池らが
肩峰下圧の上昇によるものと述べている。
肩峰下滑液包は神経が過敏なところであり、
それに刺激が加わることによって生じる。
背臥位にて痛みが増加するのが特徴で、
肩峰下滑液包と連結する棘上筋・棘下筋といった
肩の後ろの筋の緊張が関係する1)。

上腕骨頭内圧の上昇

また吉田らは1975年に
上腕骨頭内圧の上昇によるものと述べている。
こちらも棘下筋と小円筋といった
肩の後ろと脇の筋肉の緊張が関係する。
肩の後ろには後上腕回旋動・静脈という血管があるのだが、
これが上腕の骨の栄養を流しているところである。
棘下筋と小円筋が緊張するとその血管を圧迫し、
肩の痛みを生じさせてしまう。
側臥位で痛みが出るのが特徴である2)。

対処法

夜間痛が出現しないための肩関節の可動域は
外旋が24.7°以上、結帯動作がL3以上といわれる。
要するに肩関節が内側と外側に回せる事が、
夜間痛に関わる筋肉やその他周辺組織に重要である。

五十肩のエビデンスは初期では
ステロイドやNSAIDsなどの薬物療法、
それから自分で動かす自動運動が有効といわれている。
(エビデンスレベルグレードB)

また慢性期では深部を温めたり、
最終可動域での関節モビライゼーションが有効といわれている。
(エビデンスレベルグレードB)
関節モビライゼーションは関節を動かす特殊なテクニックで、
関節技を軽めにかける感じといったらわかりやすいだろうか。
強すぎず弱すぎずがとてもコツがいるものである。

また上記に述べた棘上筋・棘下筋・小円筋は、
身体の後面に付着している筋である。
筋膜連結では広背筋や最長筋などの背中とつながり、
また背骨とも連結を持つ。
そのため背骨が硬くなる事が
肩の後ろの筋肉をかためている原因となることも多い。

首の付け根、背中の真ん中あたり、
そして腰の背骨の関節が硬くなることで、
肩の後ろの筋肉がかたまってしまうのである。
姿勢と肩の症状はとても関係が深いのである。

基本的に肩が痛い人に特徴的な姿勢が猫背である。
背骨が曲がり、肩甲骨も開き、腕も前に出てくる。
こうした姿勢をできるだけ気をつけ、
またその反対方向に動かす体操が有効である。
背中を伸ばし、胸を張る体操がこれにあたる。
また何よりも、猫背の姿勢の時間を
どれだけ減らせるかが何よりも大切である。

まとめ

夜間痛はいくつか種類があるが、
背臥位で痛みが出る場合は、
肩峰下圧の上昇によるものが多い。
また側臥位で痛みが出る場合は、
上腕骨頭内圧の上昇によるものが多い。

背臥位で痛みが出る肩峰下圧の上昇は、
棘上筋と棘下筋の関与が大きい。
側臥位で痛みの出る上腕骨頭内圧の上昇は、
棘下筋と小円筋の関与が大きい。

いずれにしても筋膜上は背骨ともつながるので、
姿勢の関係が非常に大きい。
背中を伸ばしたり胸を張る運動をこまめに行い、
何よりも猫背の姿勢の時間を短くすることが大切である。

1)小西池泰三.他:夜間痛を主訴とする高齢者腱板断裂に対する
内視鏡手術(奥津法).日整会誌.7(2):189.2001.
2)吉田徹. 他:いわゆる変形性関節症について-骨内圧からの考察.
整形外科26(8):745-752.1975.

Photo by Kinga Cichewicz on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。