栄養成分は地獄への落とし穴

広告

Pocket

この食べ物にはこんな成分が入っているから、
身体にとても良い。
何度聞くだろう。テレビや人から。
しかしこの栄養成分。
実は大きな落とし穴がある。

成分信仰。
栄養至上主義はニュートリショニズムと言われる。
カリフォルニア大学のバークレー校の教授、
マイケル・ポランは
「栄養が都合よく解釈され、
営利企業のマーケティング手段に使われる」1)
と訴えている。

企業も利益を得なければならない。
テレビのスポンサーはお金もかかるし、
それなりの広告宣伝の効果を得なければ意味がない。

果糖と果物は血糖値の上がり方は違う

果糖は血糖値を上げる。
これはどこかで聞いたことがあると思う。
果物も甘いので血糖が上がり、
果物は果糖が多いので当然血糖が上がるだろう。
そういったイメージを持ちやすいかもしれない。

確かに果糖という成分は
血糖を上げることは認めれている。
しかし、果物を食べた場合は
それほど血糖が上がらないことがわかっている2)。

これは果糖という成分のみを抽出した場合は、
血糖を上げてしまうものの、
果物という形で食べた場合は、
血糖はそこまで上がらない。

普通人間が食べる場合は、
果糖のみを口に入れるわけではない。
果物を口に入れている。

したがって果糖という成分のみの研究は
実際にはあまり役に立たないと言える。

βカロテン

βカロテンは身体にいい。
これもよく耳にしたと思う。
しかし、ここ最近あまり聞かなくなってきている。
これにも理由がある。

βカロテンは1970年代に
緑黄色野菜や果物を食べている人は
胃がんや肺がんが少ないといった研究により、
一気に有名になった。

1990年代になって喫煙者やアスベスト曝露の人の
βカロテンとビタミンAサプリを摂取した人の
ランダム比較試験で驚く結果が出た。

なんと肺がんリスクの上昇3)
死亡率や心筋梗塞のリスク上昇4)
しかも女性の方が健康被害は大きいという。

さらにその後もメタアナリシスで、
膀胱癌の発症が50%上昇5)。
喫煙者で肺がん胃がんリスク10-20%上昇6)
死亡率が約7%増加7)
アルコール摂取者は脳出血のリスク増加8)
などである。

成分より食品に注目

果物や緑黄色野菜はリスクを下げるが、
果糖やβカロテンはリスクを上げる9)。
そもそも口に入れる時には、
成分のみを摂取するわけではない。

食品にはその他の様々なものが含まれる。
特に果物や緑黄色野菜は食物繊維が多い。
食物繊維が多いため吸収は穏やかになり、
血糖の上昇は抑えられる。

各種成分はその名前だけで、
専門的で効果がある印象を与える。
しかし、実際の食品は
成分のみを摂取するわけではない。

まとめ

各種成分の名前は
専門的で身体に効果がありそうな印象を与える。
しかし実際には
成分のみを摂取するわけではない。

果糖は血糖を上げるが、
果物は血糖をさほど上げない。
緑黄色野菜は身体にいいが、
βカロテンはガンのリスクを上げる。

それぞれの成分のみを抽出した時の身体の反応と、
食品としての身体の反応はまるで違う。

人は成分を食べるのではなく、
食品を食べる。
成分と食品では身体の反応は
まるで違うことを
認識しておかなければならない。

1)Pollan, M. In Defense of Food: An Eater’s Manifesto,
New York, NY: Penguin Books, 2009.
2)Christensen AS, Viggers L, Hasselström K,
Gregersen S. Effect of fruit restriction on glycemic
control in patients with type 2 diabetes-a randomized trial.
Nutr J. 2013; 12: 29.
3) Omenn GS, Goodman GE, Thornquist MD, Balmes J,
Cullen MR, Glass A, Keogh JP, Meyskens FL, Valanis B,
Williams JH, Barnhart S, Hammar S. Effects of a combination
of beta carotene and vitamin A on lung cancer
and cardiovascular disease. N Engl J Med. 1996;
334(18): 1150-1155.
4) Goodman GE, Thornquist MD, Balmes J, Cullen MR,
Meyskens FL Jr, Omenn GS, Valanis B, Williams JH JA,
The Beta-Carotene and Retinol Efficacy Trial: incidence
of lung cancer and cardiovascular disease mortality
during 6-year follow-up after stopping beta-carotene
and retinol supplements. J Natl Cancer Inst. 2004; 96(23)
1743-1750.
5) Jeon YJ, Myung SK, Lee EH, Kim Y, Chang YJ,
Ju W. Cho HJ, Seo HG, Huh BY. Effects of beta-carotene
supplements on cancer prevention: meta-analysis of
randomized controlled trials. Nutr Cancer. 2011; 63(8):
1196-1207.
6) Druesne-Pecollo N, Latino-Martel P, Norat T,
Barrandon E, Bertrais S, Galan P, Hercberg S.
Beta-carotene supplementation and cancer risk:
a systematic review and metaanalysis of randomized
controlled trials. Int J Cancer.20103 127(1):172-184.
7)Vivekananthan DP, Penn MS, Sapp SK, Hsu A,
Topol EJ. Use of antioxidant vitamins
for the prevention of cardiovascular disease:
meta-analysis of randomised trials. Lancet. 2003;
361(9374): 2017-2023.
8)Leppala JM, Virtamo J, Fogelholm R, Albanes D,
Taylor PR, Heinonen OP. Vitamin E and beta
carotene sup-plementation in high risk for stroke:
a subgroup analysis of the Alpha-Tocopherol,
Beta-Carotene Cancer Pre vention Study.
Arch Neurol. 20003 57(10):1503-1509.
9)Christian P, West KP Jr, Khatry SK, Kimbrough-Pradhan
E, LeClerq SC, Katz J, Shrestha SR, Dali SM,
Sommer A. Night blindness during pregnancy and
subsequent mortality among women in Nepal: effects of
vitamin A and beta-carotene supplementation.
Am J Epidemiol. 2000; 152(6): 542-547.

Photo by Brooke Lark on Unsplash

広告

ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。