腰痛を根本的に改善するのは

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腰痛は我が国の生涯有病率は83%と言われる1)。
画像や検査所見で原因がはっきりしない
非特異的ものが85%と多い。

それは画像にはうつらない筋肉や
関節の硬さによるものも多く、
硬さを改善すれば即時的な効果が得られることも多い。

腰痛の再発

ただ改善された腰痛は二度と再発しないわけでなく、
再発率は80%を超えるとも言われ非常に高い。
結局、改善するかどうかが大切というよりは、
どういう日常生活が原因で腰痛が出現するのか、
本人が知ることの方が大切である。

日常生活

腰痛には日常生活の影響が不可欠である。
脊椎や椎間板、筋肉や関節が
そもそもなぜ変化するかというと、
日常生活による使い方が関係する。

日常生活によって
内臓・脳・筋骨格系は変化する。
この変化は環境に適応しようとするためのものである。
よく使う使い方に身体は変化する、
もしくは適応しきれずにダメージを負う事になる。

日常生活で影響を受ける内臓・脳・筋骨格系は
それぞれ食事・睡眠・運動の影響を受ける。
内臓は食事の影響を受け、
脳は睡眠の影響を受け、
筋骨格系は運動の影響を受ける。
ただそれらは複雑に絡み合い影響が波及しあう。
ではそれぞれの影響について説明していく。

食事

腰痛は筋肉や関節などの
筋骨格系のみの問題ではない。
便秘でも腰痛は出るし、
生理痛でも腰痛が出ることは知られている。

内臓は食事の影響を受けやすい。
食べたものは食道・胃・小腸・大腸と流れる。
その流れが滞れば張りが出現する。
場合によっては内臓も浮腫が生じる。

肝臓で作られた胆汁は胆嚢に貯められ濃縮され、
膵臓から分泌される膵液とともに総胆管から
十二指腸に流れる。

腸で吸収された栄養素は
門脈を通り肝臓に行く。
栄養素によって分解や合成を行う。

腎臓は血液中の水分や窒素代謝物をろ過し、
尿を形成する。

消化に悪いものを食べると胃腸に負担をかけ、
お酒や脂っこいもの甘いものが多いと肝臓に負担をかける。
また塩気や甘いものが多いと浮腫み腎臓に負担をかける。
内臓に負担がかかればその周辺の膜が緊張するため、
臓側腹膜、壁側腹膜、筋膜と繋がり、
腰部周囲の筋が緊張すれば腰痛となる。

また食事以外でも
座位姿勢や前屈みの時間が長い時は
内臓も圧迫を受け続ける。
その他、寝不足や冷えやストレスなども、
内臓に負担をかける要因となる。

腰痛に関係するものとして食生活、
栄養、飲酒などが指摘されている2-3)。
また喫煙と腰痛の関係も有名である4)。

睡眠

腰痛は睡眠の影響も大きい5)。
腰痛があるために夜中に目が覚めて眠れなかったり、
また眠りの質が悪いことで、
痛みを感じやすくなるといった議論がある。

眠りが浅いと脳機能も低下してしまう。
それにより痛みの感受性の亢進、
閾値の低下が起きてしまう。
要するに痛みを感じやすくなってしまう。

具体的には脳機能が低下すると
ネガティブな情動が生じやすくなり、
海馬と扁桃体が過剰に活動する。
それにより疼痛を抑制する
内因性オピオイドの分泌が減少し、
痛覚過敏の状態を引き起こしてしまう6-7)。

また睡眠不足は交感神経優位となるため、
筋肉の緊張を引き起こす。
痛みがある部分は意識しやすいため、
その部分の緊張が強くなれば、
その筋肉は緊張しやすくなる。

また睡眠不足から生じる精神不安定は、
落ち込みやイライラの原因となる。
さらにひどくなればうつや神経症、
依存症にもつながる。

運動

運動は筋骨格系に対して影響を与える。
同一姿勢や習慣動作が症状を引き起こす。

同じ姿勢が続く場合、しっかりと支えなくてはならない。
ぐにゃぐにゃだと支えにくため、
しっかり支えるためにも関節は硬くなる。

動くと関節は柔らかなくなるのだが、
同じ姿勢が続くと関節は硬くなる。
関節が硬くなるとその周辺筋膜も緊張し、
伸張刺激を受けた筋肉は硬くなる。

上半身の脊椎は猫背となりやすく、
骨盤や股関節も支えることが多いと硬くなりやすい。
身体の周囲の関節が硬くなると、
動かない関節が増える。
そうすると動く関節は大きな動きを強いられることとなり、
ぎっくり腰のリスクも増加する。

前弯が強くなったり、
後弯が強くなったりすると、
腰痛が出現しやすいので
蓄積しない間に反対の動きをすることが大切である。

立ってて痛い場合は前弯が強くなっているので、
屈める体操が有効である。
また座ってたり前屈みで痛い場合は、
後弯が強くなっているので、
反らせる体操が有効である。

また運動量は身体活動が多すぎても、
少なすぎても良くないと報告されている8-9)。
多すぎるのは疲労やダメージに繋がりやすく、
少なすぎるのは身体が硬くなることが予測される。

高すぎる基準は1日100分以上の強活動。
6.5METS以上とされる。
低すぎる基準は週90分以下の軽活動。
4METS以下とされる。
運動も適度にほどほどが重要である。

まとめ

腰痛は様々な治療法があるが、
再発率が高いため改善させることよりも、
根本的な原因を対処することが大切である。

根本的な原因は日常生活にある。
日常生活における習慣は
繰り返されるため影響が大きい。

食事は内臓、睡眠は脳、運動は筋骨格系。
それぞれの影響が複雑に絡み合う。
またこれらの改善を行った場合、
必ず意識して効果を確認することが大切である。
身体の悪い症状はすぐ気がつくが、
良くなったところは意識しないと気づきにくい。
良くなったところに気がつくことで、
習慣を変えることの効果を実感し、
モチベーションを高めることが重要である。

 

1)職場における腰痛の発症要因の解明に係る研究・開発、普及
研究報告書.独立行政法人 労働者健康福祉機構.2013
2)Dean E,et al:What is the role of lifestyle behavior change
associated with non-communicable disease risk in managing
musculoskeletal health conditions with special reference to
chronic pain?BMC Musculoskeletal Disordering 2015;16:87.doi:
10,1186/s12891-015-0545-y
3)Wintermeyer E,et al:Crucial role of vitamin D in the
musculoskeletal system.Nutrinennts 2016;8:E319.doi:10.3390
/nu8060319
4)Ditre JW,et al:Pain,nicotine,and smoking:research
findings and mechanistic considerations.Psychol
Bull 2011;137:1065-1093
5)Smith MT,et al:How do sleep disturbance and
chronic pain inter-palate?Insights from the longitudinal
and cognitive-bihavioral clinical trials literature.sleep
Med Rev 2004;8:119-132
6)Wood PB:Mesolimbic dopaminergic mechanisms
and pain control.Pain 120:230-4,2006
7)Ploghaus Abet al.:Exacerbation of pain by anxiety is
associated with activity in a hippocampal network.
J Neuroscience 21:9896-903,2001
8)Henewer H et al:Physical activity and low back pain
:a U-shaped relation?Pain 2009;143:21-25
9)Lin CW ,et al: Relationship between physical
activity and disability in low back pain:a systematic
review and meta-analysis.pain 2011;152:607-613

Photo by Gesina Kunkel on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。