PCR検査は本当に必要か?数学的に考える

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PCR検査はむやみにやると医療崩壊につながる。
また検査をしていないから本当の感染者の数がわからない。
誤魔化しているだけで、実はもっと患者が多いのではないか。
などニュースや新聞でよく聞くところかと思う。

ただ実際にどっちなのかいまいちわかりにくい。
そこでPCR検査の特徴と人口を考えて、
具体的に妥当なのかどうか数学的に考えてみる。

PCR検査は必要か?

結論から言うと、
PCR検査は「必要性の高い人には行うべきである。」
ただ「一般市民の不安に応える検査としては必要ない」
と言うところである。

それはなぜか・・・。
理由はPCR検査が陽性であっても、
実際の感染の確率は6.5%だからである。

6.5%・・・・。
この驚くべき数字はどういうことなのか。
解説していきたいと思う。

ポイントは感度と特異度

では実際に計算してみる。
現在発表されている感染者の数は、
検査できている人の数なので、
実際には検査していない感染者がいるはず。
と考えるのは至極当然のことと言える。

現在発表されている感染者のおおよそ
10-20倍の感染者がいると推定されている。
日本の人口は1.265億人なので、
だいたい1000人に1人感染者がいると考えられる。
これがいわゆる有病率0.1%というやつである。

PCR検査は感度が50-70%、
特異度は99%である。
感度というのは正しく陽性と診断できるかどうか。
特異度というの正しく陰性と診断できるかどうか。

感度が70%というのは
正しく陽性と診断できるかなので、
100人全員陽性の人を検査をした場合、
70人が陽性。30人が陰性と診断される。
しかし陰性の30人は実は陽性なのである。

また特異度が99%というのは
正しく陰性と診断できるかなので、
100人全員陰性の人を検査をした場合、
99人陰性。1人が陽性と診断される。
しかし陽性の1人は実は陰性なのである。

実際の感染の確率6.5%

10万人の地域全員にPCR検査をしたとする。
有病率は0.1%なので
おそらく9万9900人非感染者がいて、
1000人感染者がいると推測される。

PCR検査の感度を70%と計算すると、
感染者100人のうち70人はちゃんと陽性と診断されるが、
本当は陽性の30人が陰性と診断されてしまう。

PCR検査の特異度を99%と計算すると、
非感染者9万9900人のうち990人は、
本当は陰性なのに陽性と診断されてしまう。

よって陽性者は70人と990人で合わせて1060人。
ただ本当の陽性者は有病率から考えて推定70人。
要するに本当の陽性患者は6.5%となる。

国民全員にPCR検査をした場合

PCR検査は感度が50-70%なので
国民全員にPCR検査をした場合、
陽性患者が出たら念のためその家族も
濃厚接触者になるので隔離するかもしれない。

それにより感染者病棟のベッド数が一杯になれば、
医療崩壊を招いてしまう。
そして本当は陽性なのに陰性と診断された患者は、
世の中にウイルスをばら撒いてしまう。

検査数は少ないのか

人口10万人あたりの検査数は
ドイツ・イタリア3000件、
アメリカ1800件と比べて、
日本は200件と確かに少ない。

これは日本の対応として、
クラスター対策を徹底し、
陽性患者と濃厚接触者を中心に
PCR検査を行ったことによる。

闇雲に全ての国民に検査をするのではなく、
有病率から考えて、可能性の高い人の検査に集中させた。
そのため患者1人あたりのPCR検査は
他国と比べて低くない。
要するに感染者や死亡者に対しては、
予めきちんとPCR検査は行えている。

一般市民を闇雲に検査をした場合、
有病率0.1%から考えると陽性者の6.5%しか
感染者はでない。
要するに9割が誤診となる。
その誤診の検査に費用やマンパワーも奪われ、
やがて医療崩壊を招いてしまう。

ただ医師がPCR検査が必要と判断した場合は
88.6%が感染者となり、
誤診は1割程度である。
この陽性的中率は検査前確率が高いかどうかが重要だ。
当たり前であるが陽性の確率が高い人を検査すれば、
陽性的中率は上がり、
陽性の確率が低い人が検査すれば、
陽性的中率は下がる。

本当の死亡者が確認できているのか

感染者数は人口やPCR検査の数に依存しているため、
必ずしも正確な数を表しているとも言えないし、
他国と比べても意味はあまりない。

しかし死亡者に関しては隠すことはできない。
これは超過死亡数という形で現れるからである。
超過死亡数とは週単位で集計。
過去数年の死亡者数のトレンドより、
不自然な死亡があるかどうかは一目瞭然である。

今の時期に突然死亡率が高くなるのは、
新型コロナウイルスの影響の可能性は高い。
実際に超過死亡率が高くなっているのは、
イギリス、イタリア、エクアドル、スペイン、
フランス、ニュージーランド、
ニューヨークなどが上がる。

日本はというとむしろ下がっている。
公衆衛生の意識の高まりとともに、
インフルエンザの数が少ないことも
影響しているかもしれない。

このことから考えても、
日本は死亡者数を隠しているわけでもなく、
実際にある程度の押さえ込みが成功していると言える。

日本の強みは何なのか

やはり医療崩壊が起きていないことが大きい。
PCR検査をクラスター中心に行い、
医師が必要とした陽性的中率の高い患者にも、
PCR検査を行った。
無駄な医療リソースの提供がないことや、
必要以上に偽陽性の患者を出さないことで、
ベッド数が一杯になることを防いだ。

そして救急医療が優秀であることが言える。
重症か患者の回復は75%。
人工呼吸器やECMOにより
回復や退院が可能になっている。

日本の医療施設は大規模な病院が少数ではなく、
中小規模の医療施設が多くある。
そして日本のCT保有数は100万人あたり107.2台であり、
G7平均の25.2台、OECD関連国の25.4台と比べて
断トツでトップ。
さらに日本では病院だけでなく、
クリニックですらCTを保有しているところもある。

PCR検査ができなくても、
肺炎の確認が高精度で確認できる強みも大きい。

国民一人一人の意識の高さも大きい。
罰金や懲罰なしの自粛要請のみで、
人の動きを抑制することができている。

さらにマスクの着用、ソーシャルディスタンス、
店での感染予防対策が瞬時に対応できてる。
室内では靴を脱ぐ習慣もあり、
ウイルスが室内に入らない理由ともなっている。

まとめ

PCR検査は一般市民の不安に応える検査としては
必要ないが、必要性の高い人には行うべきである。
それはPCR検査が陽性であっても、
実際の感染の確率は6.5%だからである。

現在、コロナウイルスを
押さえ込むことができているのは、
医療崩壊が起きていないこと、
救急医療が優秀であること、
国民の意識の高さなどがあげられる。

人間は未知の不安や恐怖が生じると、
感情的な判断や行動を選択しやすくなる。
悲観的な情報に囚われすぎると、
冷静で客観的な判断は難しくなる。

正しい情報をもとに思考するためには、
不安や恐怖が生じると
悲観的な情報に囚われやすいことを認識し、
楽観的な情報とともに
数字で冷静に考えることが必要なのではないだろうか

Photo by Ava Sol on Unsplash

 

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。