アブラは身体に良いの?悪いの?

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アブラは体に悪い。
血液がドロドロになって病気になる。
この油は身体に良い。

あれ?アブラって身体に悪いんじゃなかったけ?
オメガ・・・?
いつの時代からこんな
おしゃれなギリシャ語がアブラに付け加えられたの?
時計じゃないのオメガって・・・

そんな人も多いはず。
自分もアブラの情報量の多さにパニック気味なので、
少し整理してみた。

アブラの悪の始まり

1950-1960年あたりで、
血清コレステロールが高いと、
心臓病になりやすいという研究が発表される。

それによってもう大混乱!
これがコレステロール恐怖の誕生である。

しかしその後、コレステロールにも
良い奴と悪い奴がいることが発見された。
これがコレステロールの善玉と悪玉だ。
HDLが善玉で、LDLが悪玉だ。
善玉は血管の壁のコレステロールを剥ぎ取り、
悪玉は肝臓のコレステロールを身体に運ぶ。
身体のコレステロールが増えると
動脈硬化に進んでしまうわけである。

ということで摂るアブラにも
良い奴と悪い奴がいるという話になり、
やや話がややこしくなるわけである。

脂と油

アブラには基本的には固まる脂と、
サラサラの油に分かれる。

固まる脂が飽和脂肪酸。
サラサラの油を不飽和脂肪酸という。
英語では脂はファット。脂はオイル。

動物性の脂が固形なのは
融点が約30〜50℃だから。

植物性の油が液体なのは
融点が-10〜15℃程度だから。

例外なのは魚の油で、
海の冷たい水でも固まらないように、
融点は-70〜-50℃になっている。

アブラの役割

糖質・タンパク質が4kcal/gに対して、
脂質は9kcal/gで倍のエネルギーを持つ。
そのため身体に効率よく貯蓄して、
生き延びる有効な手段であった。

このアブラは人間を作る上で欠かせない。
身体の構成成分は水分が55-65%。
ミネラルが5.5-6.0%。
タンパク質が16-18%。
脂質は男性で15-20%、女性で20-30%になる。

役割としては
・肌や髪を健康に保つ
・体温の維持と臓器を守る
・エネルギーを蓄える
・血液・ホルモンの材料
・細胞膜の材料
・脳神経系の機能
・細胞を識別する標識

実に様々な働きを有している。

アブラの構造

ちょっと難しくなってくるので、
ここは飛ばしてもらっても良いが
アブラの構造の話。

油・脂・脂肪の構造は同じ。
グリセロールに脂肪酸が3つである。

この脂肪酸というのが構成要素になり、
それに炭素が鎖のように繋がり、
端に水素と酸素がひっつく。

実はそしてその炭素の連結の仕方によって、
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれている。

飽和脂肪酸は炭素の連結が一重。
不飽和脂肪酸は炭素の連結の中に、
1ヶ所以上が二重・三重の連結になる。
二重の部分は水素を伸ばすのが手がないので、
やや不安定な構造になる。

元素が重なった端は共通の構造があって、
片方の端がカルボキシル基と呼び、
もう片方の端がメチル基と呼ぶ。
このメチル基側の末端をオメガとも呼び、
このオメガのいくつめの炭素に二重結合があるかで、
オメガ9、オメガ6、オメガ3と分かれる。

自分で作れない脂

固まる油である飽和脂肪酸と比べて、
サラサラの油である不飽和脂肪酸は、
基本的に自分で作れない。

そのため摂取する必要がある。
こうした自分で作れない脂は
必須脂肪酸と呼ばれる。

必須脂肪酸は
植物の種に含まれるリノール酸。
植物の葉や根に含まれるα-リノレン酸。
魚類に含まれるドコサヘキサエン酸や、
エイコサペンタエン酸。
動物の内臓や魚の卵に含まれる
アラキドン酸などがある。

身体に良い脂は?

今までの話を一旦整理していく。
固まる脂は飽和脂肪酸で動脈硬化の原因になる。
しかし、身体にとって必要なものもある。

サラサラの油は不飽和脂肪酸で、
基本的には自分で作ることができないため、
摂取する必要がある。

不飽和脂肪酸にはさらに、
何番目の炭素に二重結合があるかで、
オメガ9、オメガ6、オメガ3に分かれる。

オメガ9はオレイン酸、
オメガ6はリノール酸、
オメガ3はα-リノレン酸が代表格となる。

飽和脂肪酸は、
バター、牛、サラダ油に多く含まれる。
これは動脈硬化や高コレステロールに関わるため、
1日に160-240kcal程度に抑えたいところ。

オメガ9オレイン酸は、
ご飯、チョコレート、牛乳、卵、
オリーブオイルなどに多く含まれる。
善玉を増やし悪玉をあまり増やさない働きがあるが
唯一身体で作ることができるので、
意識して摂取する必要はない。
1日に男性(20-40歳)で大さじ2弱程度。
女性(20-40歳)で大さじ1.3弱程度。

オメガ6リノール酸は、
大豆、ひまわり、コーン、豚肉、
ごま油に多く含まれる。
善玉も悪玉も共に下げるため、
コレステロール低下は強いが、
多量摂取は善玉も減ってしまう。
炎症物質を排除する免疫系に作用するが、
多量に取ると過敏になりアレルギー反応を起こす。
多量摂取は炎症やがん発症の要因となる。
不足すると皮膚障害の要因となる。
大さじ1.6以下留めたい。

オメガ3α-リノレン酸は、
エゴマ、アマ二、シソ、魚介類、
葉菜、根菜に含まれる。
抗炎症作用があり、
がん予防にも有効とされる。
酸化しやすいので取り扱いが難しい。
男性(20-40歳)で2.2g以上
女性(20-40歳)で1.8g以上摂りたい。

日本人の脂肪摂取の推移

日本人の脂肪酸摂取状況の長期的な推移をみると、
約40年で脂肪摂取量は3倍に増加している。
また飽和脂肪酸は3.5倍、
オメガ9オレイン酸は増加傾向で、
オメガ6リノール酸やオメガ3α-リノレン酸は
減少傾向に推移していた1)。

やはり肉類の摂取が増加傾向にあるのは、
おおよその予想通りとも言える。

食用油の分類

スーパーに行っても、
たくさんの油が売られており、
一体どの油を買えば良いのか迷う。
それぞれ分類していくと

飽和脂肪酸
バター

不飽和脂肪酸
オメガ9オレイン酸
オリーブオイル・キャノーラ油・紅花油
オメガ6リノール酸
コーン油・ごま油
オメガ3α-リノレン酸
エゴマ油・アマニ油・シソ油・魚油

まとめ

アブラは身体に悪い。
と言われていたが、
油の種類は様々なものに分かれ、
それぞれ働きが違うことがわかっている。

ただ身体にとって重要な働きも持っているので、
極端に減らすことはあまり良くない。
ただ肉食や食用で用いられる油である、
飽和脂肪酸やオメガ9オレイン酸などは、
摂取量は多く摂りすぎている。

特に摂取が少なくなりがちな、
オメガ3α-リノレン酸は、
抗炎症作用がありがん予防効果もあるので、
意識して摂りたいところである。

1)厚生省大臣官房統計情報部編.平成6年人口動態統計上巻,
pp142-143,財団法人厚生統計協会,1996.

Photo by Edgar Castrejon on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。