どのくらい動くと良いのか

広告

Pocket

アプローチにより痛みが軽減したとしても
痛みが再発することは少なくない。

痛みの改善は外傷の場合は組織の修復によって行われる。
筋の緊張や短縮、関節包内運動の低下による疼痛は、
可動性の改善が効果的である。

しかしながら一度改善した症状も、
時間が経つことで元に戻ることは少なくない。
むしろほとんどの場合、元に戻ってしまう。
ではこの症状の再燃には一体何が関係するのであろうか。

結論から言うと日常生活の影響である。
過剰な運動により外傷部が再度損傷したり、
不動により再び可動域制限が生じたるためである。

病期による分類

生活指導をする上でまず1番に把握すべき点は、
急性期・亜急性期・慢性期の見極めにより、
保護期・運動調節期・機能改善期と分類することである。

外傷の急性期に関しては
言うまでもなく保護が重要だが、
亜急性期・慢性期に移行するに従って、
活動性の向上が重要になる。

整形外科的な保護というのは、
ベッド上での安静を示すわけではなく、
疼痛の出現しない範囲で動くことを指す。

外傷部の修復を邪魔しないためにも、
過剰な負担は回避する必要があるが、
過度な安静は外傷部以外の組織の
可動域制限、筋力低下、心理面の悪化など
長期的にはデメリットも多い。

そのため、基本的には痛みの出現しない範囲では
動くことが推奨されている。

亜急性期・慢性期に移行していくと、
組織の回復が進んでくる。
そのため、より活動性の向上が必要になる。

運動量の調節

病期により運動量は調整する必要があるが、
急性期であれば特に慎重に行う。

亜急性期になると損傷組織の外層部から修復される。
そのため運動時痛は減少してくるものの、
長時間での同一姿位や強い収縮を伴う運動は負担となる。

患者は疼痛の減少により、
運動量を急激に増やしてしまう傾向にある。
それはしばらく活動を低下させていたことによる
フラストレーションを解消しようとする心理面も作用する。

また極端に動く人ほど、
その後疲れてしばらく休みすぎてしまう傾向にある。
休みすぎることで体は硬くなり、
その後、極端に動かすことで傷めるリスクは上がる。

じっとし過ぎても可動域制限が強くなり、
動き過ぎても傷めるリスクが上がる。
ほどほどの使い具合というのが、
実は非常に難しくなる。
運動量を増やすときには1週間で
1割程度が望ましいとされる1)。
筋力の増強は数ヶ月単位かかる点と、
1割であればやり過ぎても
ダメージが少ない点がこれに関係する。

まとめ

痛みの強い時期である急性期。
少し楽になってくる亜急性期。
組織の修復がおおよそ終わる慢性期。
その病期によって動き方は変わってくる。

急性期は基本的には外傷部位は保護し、
他の部位は活動性を維持する。

亜急性期になるとある程度楽になるのだが、
組織の修復は脆弱な状態であり、
無理をするとすぐにぶり返す。
1週間で1割程度の割合で運動量は増加していく。

慢性期は活動性を高めなければならない。
活動性の低下はより外傷部および
周辺組織の硬さを増強させ、
それに伴う痛みを発生させる。
また外傷前と同程度の活動性にならない限り、
以前の身体の状態に戻ることはない。

身体は生活によって変化するものである。
怪我をきっかけに活動性が下がったままであれば、
組織の柔軟性や筋力は戻ることはない。
元の活動性に戻すことこそ慢性期では重要である。

1)Lubell,A:Potentially dangerous exercises:are they
harmful to all?Phys Sports Med 17:187,1987

Photo by bruce mars on Unsplash

広告

ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。