筋肉の可動域制限は3つの要素が関係する。
一定方向の線維の硬さを直列弾性要素。
網目状の線維の硬さ(液体の要素も含む)が並列弾性要素。
そして神経を介して筋肉の収縮による収縮要素である。
直列弾性要素では筋や腱の弾性要素が含まれる。
筋フィラメント、コネクチン弾性、
クロスブリッジなどである。
一定方向の線維の硬さが特徴である。
並列弾性要素では筋膜、血管、筋小胞体、細胞膜が含まれる。
また水分やプロテオグリカンなどの液体要素も含まれる。
網目状の線維の硬さが特徴である。
収縮要素では筋の収縮が含まれる。
筋の収縮は神経による影響が関わってくる。
直列弾性要素と並列弾性要素は物理的なバリアーであり、
収縮要素は神経的なバリアーである。
直列弾性要素と比べ並列弾性要素の方が柔らかい。
可動域制限の早期では収縮要素の影響が強く、
次に並列弾性要素、そして直列弾性要素と波及していく。
時間がたつほど強固な可動域制限が生じ、
改善が難しくなる理由はここにある。
筋の可動域制限は頻度の多い問題である。
何に対してアプローチしているか知ることは、
アプローチのわずかなタッチや操作の質に影響する。
より質の高いアプローチには必要不可欠である。
まとめ
筋の可動域制限には直列弾性要素と並列弾性要素、
そして収縮要素の3つがある。
直列弾性要素は一定方向で、
並列弾性要素は網目状の制限を示す。
この二つは物理的なバリアーである。
それに対して収縮要素は神経的なバリアーである。
可動域制限が生じる順としては、
収縮要素から並列弾性要素、
そして直列弾性要素の順となることが多い。
そして時間がたつほどに強固な制限となり、
改善が困難となりやすい。
アプローチの質を高めるためには、
これらの何に対してアプローチしているのかを
理解する必要がある。

1)石井直方:筋の弾性と柔軟性.吉岡利忠.他(編):筋力をデザインする.
杏林書院,2003.pp169-186