問題点の抽出

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問題点を明確にすることは大切である。
問題点が外れていたら、
いくら努力をしても
患者も療法士も共に報われない。

そのためにも療法士が問題点を
明確にすることは重要である。
リハビリテーションの問題点の考え方には
「社会生活レベル」と「個人の生活レベル」
そして「生物学的機能レベル」に
階層を分けて考えるものがある。

これにより患者の想いを具体化し、
患者自身が抱える社会的な問題を、
能力的なもの機能的なものに落とし込んで、
改善可能なものであれば機能改善を行い、
改善が困難なものに関しては社会的なアプローチや、
能力的なアプローチにより自立を促して行く。

社会生活レベル

まずは「社会生活レベル」を確認していく。
これは患者の不安なこと、
困っていることなど
気になっていることを明確にする。

ニーズやデマンドを確認することになるが、
実はその奥に大切なものが隠れている。

ニーズやデマンドを明確にする中で、
患者の想いの背景が、
どういった要素で形作られているかを
理解する必要がある。

思想や価値観、人格特性などがそれにあたるが、
それを知ることでこの後の優先順位の選択や、
生活指導などの説明内容も変わってくる。

頑張り屋なのかのんびり屋なのか。
日常生活ではどのような過ごし方をするのか。
家はどんな構造なのか。
家族は何人で日中は誰か手伝ってくれるのか。
それによってはじめて
その人の必要な能力は決まってくる。
その人独自の日常生活活動を
把握することができるのである。

日常生活活動では
起居・移乗・移動・食事・
更衣・排泄・入浴・整容が含まれる。
リスクなく安全に行うことができるかが
まず重要である。

日常生活活動が問題なければ、
次に生活関連動作になる。
生活関連動作では、
基本的な日常生活から
さらに幅広い調理、洗濯、掃除が含まれる。
日常生活活動と比べて、
持続時間が長くなるのが特徴である。

生活関連動作の次は、仕事である。
持続時間が長いだけでなく、
自分のペースで休憩を入れることが難しい。

仕事の次は趣味である。
趣味活動は好きなことが多いため、
疼痛抑制物質の影響を受けやすい。
要するに好きなことや
楽しいことに夢中になるので、
痛みを感じずにやり過ぎてしまう。
そのためオーバーユースになりやすい。

社会生活レベルは、
幅広い多くの要素が必要になる。
そして必要な能力は日常生活活動
→生活関連動作→仕事→趣味と
難易度が高くなる。

個人の生活レベル

能力面を把握するためには、
まず社会生活レベルを
把握することが大切である。

例えば歩行能力が必要としても、
どの程度必要なのかは、
社会的生活レベルの把握が重要になる。
その患者の歩行能力はどういったときに
必要なのかを把握することで、
歩行条件は変わってくる。

例えば買い物に行くのに、
よく行くスーパーの距離はどのくらいか。
移動手段はどういったものか。
スーパー内ではカートを使うか。
カゴを持って歩くのか。
杖の使用は本人の価値観で許せるのか。
などにより歩行距離、休憩の有無、
歩行様式や道具の利用などの条件は
はじめて見えてくる。

それを確認した後に、
必要な歩行能力を動作観察していく。
必要な歩行条件を把握し、
それにより患者の求める具体的な
長期目標が仮設定できる。
そしてそれを段階的に分解すれば、
短期目標も仮設定可能となる。

生物学的機能レベル

社会生活レベル、
個人の生活レベルの把握できることで、
その人に必要な生物学的機能レベルが見えてくる。

個人生活レベルの必要な能力の条件を把握できたら、
目標の仮設定ができる。
ここで”仮”なのは、
それが可能なのかどうなのかは、
生物学的機能レベルで評価をしなければ
判断することができないためである。

個人の生活レベルでの能力を
阻害している因子が何なのか。
痛みなのか可動性なのか、
筋力なのかそれとも心因性のものなのか。
それは評価をしてみなければわからない。

またそれらの問題の原因が
それが炎症によるものなのか、
骨折によるものなのか、
骨の構造上によるものなどであれば、
アプローチによる変化は困難である。

改善可能な可動域制限や筋出力の低下であれば、
アプローチをすることで、
個人の生活レベルの改善、
社会生活レベルの改善とつながるはずである。

機能面の問題点の優先順位は、
1.痛み 2.可動性 3.筋力 4.心因性である。

痛みは最も優先順位が高く、
動作の阻害因子となりやすい。
それは痛みがあると可動性も制限され、
筋力も発揮できないためである。

また2番目の優先順位は可動性である。
可動性の低下は筋力に影響を及ぼす。
可動性の低下した関節では、
骨運動が生じず十分なトルクを得られない。
また筋力は可動範囲の中間域で
最も筋力を発揮しやすい傾向があり、
これらの関係から可動性の低下は、
筋力よりも優先順位は高い。

3番目の優先順位が筋力である。
筋力が発揮されるための基盤として、
痛みがなく関節が動くことが必要である。
それにより、
筋力は本来の力を発揮することができる。

4番目の優先順位が心因性である。
心因性の優先順位が4番目なのは、
先入観をなくす目的が大きい。
心因性が問題と考えると、
先入観により評価がおろそかになり、
改善が可能な部分も見えなくなる恐れがある。
そのため、他の要因に問題がないことを確認した上で、
心因性の問題を考慮することが
問題点のエラーを防ぐためには重要である。

まとめ

リハビリテーションにおける問題点は、
「社会生活レベル」と「個人の生活レベル」
そして「生物学的機能レベル」とつながりがある。

特に「社会生活レベル」と「個人の生活レベル」は、
療法士による観察のみでは見えてこない。
患者とのコミュニケーションにより、
はじめて把握することができる問題である。

この「社会生活レベル」と「個人の生活レベル」が、
把握できていなければ、
「生物学的機能レベル」で改善できたとしても、
患者の社会生活や個人生活は
何も変わらないということが生じてしまう。

「洗濯物が痛みなく干せるようになりたい。」
という人に対して
「歩くのが速くなる。」ということを、
療法士が求めても患者は不満を感じるだろう。

患者の求めるものと医療従事者の必要なもの。
そこをお互いの話し合いの中から、
統一しつなげていく。
このことがまず重要ではないだろうか。

Photo by Jordan Andrews on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。