骨が折れるからこけたらだめ

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「”骨が折れるからこけたらだめ”って
家族から言われとんよ。
よく耳にする言葉である。
「誰もこけよう思ってこけとるわけじゃないのに。」
続けてよく聞くジョークである。

さてさて骨はどれくらいで折れるのか。
これに関しては実はあまり知らない場合も多いかも。
今日はそんな骨の話について。

椎体骨折の症状

歳をとると背骨の骨折が増える。
症状としては背中が曲がる、身長が縮む。
立ったり重いものを持つと背中や腰が痛む。
背中や腰の痛みで寝込む。
などの症状の訴えが生じやすい1)。
高齢者で顔を歪めるような強い痛みがある場合は、
椎体骨折を疑って受診した方がよいかもしれない。

椎体骨折で背骨が曲がることで、
内臓も圧迫を受けるので、
息苦しさや胃腸障害も併発することが少なくない。

骨の仕組み

骨はずっとそのままあるものではなく、
実は常に入れ替わっている。
古い骨は壊されて骨吸収され、
新しい骨につくり替えられ骨形成される。

骨を壊すのが破骨細胞。
骨をつくるのが骨芽細胞という1)。

骨粗鬆症になると、骨が作られるより
壊される方が上回るために骨がもろくなる。
それが原因で骨折を起こしやすくなる2)。

年齢と骨の強さ

骨の強さは20歳〜30歳で最大となり、
徐々に弱くなっていく。
特に女性は閉経後に、
骨の代謝のバランスが崩れやすいため
骨粗鬆症が生じやすくなる。
閉経後に急激に骨が弱くなるため、
60歳を過ぎると骨折しやすい範囲になる3)。

実際の骨の強さ

亡くなった人の骨を使って、
上下に圧力をかけた実験がある。
若い人の椎体は約600kgまで耐えれたが、
骨粗鬆症の椎体は約200kgまでしか
耐えられなかった4)。

なので普通に動いて折れることはないが、
こけて尻餅をつくと話は変わってくる。
転倒した時は体重の6.5倍〜9倍の力が
加わると報告されている。
50kgの人でも325〜450kgにもなる。
高齢者では椎体の耐久性を
ゆうに超えてしまうので、
骨折してしまうのである。

骨粗鬆症の薬も随分と様々なものが増えてきている。
食事からカルシウムが十分取れない場合のカルシウム製剤。
痛みを伴う骨粗鬆症にカルシトニン製剤。
骨の形成を進める副甲状腺ホルモン(PTH)製剤。
骨の形成を助けるビタミンK2製剤。
長からのカルシウム吸収を助ける活性型ビタミンD3製剤。
骨の吸収を強力に抑制するビスホスホネート製剤や
抗RANKLモノクローナル抗体。
閉経後の女性の骨吸収を抑制するSERM製剤
(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)。
などその方にあった薬が使用される5)。

生活習慣

身体の影響として最も影響の大きいもの。
それは生活習慣である。
身体にいいことを少々することよりも、
身体に悪いことを減らすことの方が、
影響力はよっぽど大きい。
しかし、それが何なのか知らないことも多い。
ではどういった生活習慣が関係するのだろうか。

骨粗鬆症は加齢や閉経の他に、
ステロイドの使用や喫煙、お酒の飲み過ぎ、
そして栄養不足などから引き起こされる、
いわゆる生活習慣病が影響する。
生活習慣病というのは
これらの日常生活による不摂生によるもので、
糖尿病・慢性腎臓病・高血圧・
メタボリック症候群などが挙げられる。

骨折に大きな影響を及ぼすのは栄養。
食事の取り方は非常に重要である。

骨を強くする食事の基本は
必要なカロリーとタンパク質。
そしてカルシウム、ビタミンD,K,B,Cなどがある。
例えば豆腐の味噌汁、ほうれん草のごま和え、
焼き魚、納豆などがある。

逆に摂りすぎに気をつけるのは、
リンを多く含む加工品や、食塩、
カフェイン、アルコールなどである。

まとめ

骨は破骨細胞と骨芽細胞で
常に入れ替わっている。
女性は閉経後60歳以上になると、
骨折しやすい状態となる。

具体的な骨の強さは
若い人で600kg。骨粗鬆症で200kg。
約1/3の強度となってしまう。
転倒した時にかかる負担は、
体重の6.5〜9倍にもなり、
骨粗鬆症があれば
十分骨折するだけの力が加わってしまう。

骨粗鬆症の薬はカルシウムの吸収を助けるものから、
骨形成を促すもの。最近は骨吸収を抑えるものと、
様々な種類のものがある。
ただ日常生活での影響も非常に重要になるため、
飲酒・喫煙・コーヒーなどの嗜好品をほどほどにし、
和食を中心としたバランス良い食事が必要となる。

1)骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン作成委員会:
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版
2)廣田憲二 他:専門のお医者さんが語るQ&A
骨粗鬆症 保健同人社:21,2007
3)清野 佳紀 他:薬の知識 43(10):1,1992
4)Fields AJ:J Bone Miner Res,2011
5)浦部 昌夫 他:今日の治療薬2018 南江堂:463,2018

Photo by GMB Monkey on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。