障害脳血管と臨床症状

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脳血管の分類

脳血管は大まかに分けると
大動脈から頭蓋外動脈となり
総頸動脈、内頸動脈、椎骨動脈と分岐する。

その後、大血管である頭蓋内主幹動脈は
前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、
脳底動脈に分岐する。

さらに小口径動脈という小血管となり
表在穿通枝(白質髄質枝)は皮質より深部に
深部穿通枝は脳実質に血液を循環させる。

総頸動脈や椎骨動脈は弾性型動脈で
栄養血管を有するが、
内頚動脈や脳底動脈などは筋型動脈と呼ばれ、
栄養血管はなく外膜の発達に乏しいため
障害を生じやすい。

もう少し細かく血管の支配との関連を説明すると、
中心前溝動脈、中心溝動脈、前乳頭動脈・傍正視床動脈、
視床膝状体動脈、内側線条体動脈、外側線条体動脈に
分類される。

血管の障害と典型的な症状

それぞれの血管の障害と
典型的な症状について述べていく。

中心前溝動脈障害ではarea6とarea4が含まれる。
そのため上肢の痙性麻痺が出現するが感覚障害はない。

中心溝動脈障害ではarea4、area1,2,3が含まれる。
そのため上肢の痙性麻痺と感覚障害が出現する。
ただしarea4はprecental knobであり
手の運動に関わる1,2)。そのため上下肢に
異常がないのにも関わらず
手の巧緻障害が出現することがあることは
注意する必要がある。

前乳頭動脈・傍正視床動脈の障害では
背内側核と視床前枝で
Yakovelev回路やPapez回路が含まれる。
そのため情動や記憶障害に影響を及ぼす。
視床出血で障害されやすい。

視床膝状体動脈の障害では
外側腹側核(小脳路の中継点)、
後内側腹側核(感覚路の中継点)、
後外側腹側核が含まれる。
そのため運動失調、感覚障害、
血腫の内包穿破による痙性麻痺
(内包後脚に近いため)が生じる。
これも視床出血で生じやすい。

内側線条体動脈の障害では
前交連より前方の被殻前部で
前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野が
含まれるため認知機能障害が生じる。
これは被殻出血で生じやすい3)。

外側線条体動脈では
全交連後方の被殻後部
(感覚運動野からの入力が投射される)
が障害されるため運動感覚障害が生じる。
これも被殻出血で生じやすい3)。

その他としては
脳梁周囲動脈が障害されると
area24前帯状皮質運動野が含まれるので
欲求が生じないことによって
運動発現が生じないという現象が生じる4)。
(area4、6は異常がなくても運動障害が起こるなど)

前方灌流と後方灌流の障害では
後方灌流のほうが
NIHSSも3ヶ月のmRSも有意に低い。
ただしNIHSSでは後方灌流の梗塞症状の脳神経、
運動失調の項目が少ないため
点数に反映されていない可能性がある。
その点は注意する必要がありそうだ。

まとめ

障害部位と脳機能を理解することができれば
画像と臨床症状を比較することで
脳機能から証明することができる。
また画像と臨床症状が一致しない場合は、
今回の障害以外の問題が推測できるため、
改善可能か改善不可能なのかの予測も立てやすくなる。

注意すべき点としては脳動脈と機能局在には
個人差がありマニュアル通りにはいかない所である。
例えば中大脳動脈であれば3分岐が一般的だが
その割合は50%で2分岐や4、5分岐も
少なくないことが指摘されている5)。
そのため血管が障害された場合の損傷範囲が
変わってくることは容易に推測できる。
また機能局在においてもarea4の領域は
中心溝・シルビウス列の交点
~手の運動領域下端の距離と言われるが、
17mm~54mmの個人差があり6)
Penfieldsらのhomunculusの
参照には注意が必要である6)。
その他にも高齢者であれば
ラクナ梗塞が既に存在する場合があることも留意する必要がある。

1)Youstry TA,et al:Localization of the motor hand
area to a knob on the precentral gyrus.
A new landmark.Brain 120:141-157,1997
2)Kim JS:Predominant involement of particular
group of fingers due to small,cortical
infarction Neurology 56:1677-1682,2001
3)藤山文乃:大脳基底核の構造-細胞構築と
神経回路.Brain Nerve 61:341-349,2009
4)虫明元,他:認知的運動制御における
大脳皮質運動関連野の役割.総合リハ32:653-658,2004
5)Lang J:Kopf Gehirn-und Augenschadel.In LanzT
von,et al(eds):Praktische Anatomie,Band 1,
Teil 1B,Heidelberg,Berlin,1979
6)星田徹:脳裏電気刺激はGold standerdになりえるか.
臨床神経生理34:346,2006
7)Penfield w,et al:The cerebral cortex of man:
A clinical study of localization of function,
Macmillan,New York,1950

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔
岡山のクリニックで理学療法士として勤務。
“痛み”に対して
日常生活のコントロールの重要性を提唱している。