痛みと感情のつながり

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通常の痛み

通常の痛みは、組織が傷ついたり
機械刺激などの刺激により感じるものである。

発痛物質をレセプターが受け取り、
脊髄後根の外側部を経て、
視床、体性感覚に伝導される。

この脊髄視床路は新しい伝導路であり、
新脊髄視床路と呼ばれ、
痛みの位置を把握する伝導路と呼ばれる。

ストレスは痛みを生じさせる

心理的ストレスそのものも、
痛みを生じさせる原因となる。
心理的ストレスは副腎から
ノルアドレナリンが分泌され末梢血管の収縮を。
そして交感神経が優位になり筋の攣縮を生じさせる。
これらは組織の酸欠をもたらすことで、
発痛物質を生じさせることになる。

痛みを気にし過ぎることでも、
心理的ストレスは増加する。
また痛み刺激と関係のない心理社会的なストレスも、
痛みを増強することが知られている。

家庭の問題や仕事の問題、
交通事故におけるトラブルなども、
心理社会的なストレスを増加させるため、
痛みを作り出してしまうことになる。

組織が傷ついたり機械的刺激がないにも関わらず、
心理的ストレスによっても疼痛は作られるのである。

これらの問題が長期化することで、
痛みは慢性化することがある。
心理的ストレスが持続することにより、
副腎からノルアドレナリンが分泌され、
交感神経が優位になることで、
血管収縮、筋の攣縮が持続する。
結果としてそれにより疼痛が慢性化してしまうのである。

感情は痛みを強くする

痛み刺激は新脊髄視床路である、
外側脊髄視床路により視床、体性感覚で
痛みの識別が行われる。

しかし痛みには旧脊髄視床路と呼ばれるものがあり、
内側脊髄視床路の経路をたどっていく。

ここでは視床を介しあと、
前帯状回や島皮質、
そして扁桃体や前頭前野に伝導される。

これらは感情に関係する部分であり、
不安や恐怖を感じ冷静な判断が困難になったり、
頭を切り替えたりすることが困難になってしまう。

そうなると脳そのものが痛みを抑制する働きである、
下行性疼痛抑制系の働きが減少し、
痛みを強く感じさせてしまうことになる。

疼痛を感じることの意味

痛みを感じることで、脳と身体はその刺激から
身を守ろうとする。
不快な刺激と感情を生じさせることで、
その害のある刺激から身を守ろうとする。

しかし、心理的ストレスが持続した場合は、
その身を守ろうとする仕組みが持続してしまい、
慢性的な疼痛を作り出してしまうことになる。

動物の場合は危険を回避すれば終わりだが、
人間の場合は脳が発達したために、
過去の事や未来のことに対しても、
不安や恐怖を覚えることができる。

また複雑な人間関係においては、
解決が難しいことも多いため、
ストレスが持続することも起こりやすい。

痛みはストレスなどの感情によっても、
作られたり増強されたりするため、
気の持ちようがとても重要になる。

痛みを気にし過ぎたり、
不安や恐怖を感じるような言葉は
医療従事者も気をつけていかなければならない。

ネガティブな表現や専門用語はより不安を高めてしまう。
どこがどのように悪いのかの話をすることで、
リスクを回避することも大切である。
しかし、慢性的な疼痛を防ぐためには、
ポジティブな表現やどうすれば良いのかなど、
安心感を与える話がとても大切である。

ただ疼痛が長引く場合は、
焦りや不安が増強しないように、
炎症や組織の修復にどの程度の時間が必要か。
日常生活の過ごし方により、
期間は変動することなど具体的な話も必要である。

まとめ

痛みは組織が傷ついた場合に生じるが、
感情によりさらに痛みが作られたり、
増強したりすることも理解する必要がある。

副腎髄質からのノルアドレナリンや、
交感神経が優位になることで、
末梢血管の収縮と筋の攣縮が痛みを作り出す。

また旧脊髄視床路である内側脊髄視床路は、
感情を司る経路を進むため感情に作用し、
下行性疼痛抑制系を減少させてしまう。

組織の損傷を保護することも大切だが、
過剰に痛みを気にし過ぎたり、
不安や恐怖を感じさせると痛みは慢性化する。

身体のケアのみならず心のケアにも意識しておくことが、
疼痛をアプローチする上では必要不可欠である。

Photo by Lurm , Asdrubal lunaon Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。