臨床でのコミュニケーション

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患者とのコミュニケーションは
評価やアプローチ以上に重要な場合も多い。
臨床では精神的な要素と
現実的な要素の両方を考える必要がある。

まず精神的な要素では
患者の不安を明確にすることが大切である。
怪我や病気の患者の気持ちというのは千差万別である。
患者がどのようなことに不安があるのかを
まずは療法士が認識することがすべての始まりになる。
基本的には「できないこと」や「困っていること」などの
ネガティブな情報を聴き取り、
特にないという場合は「やりたいこと」を
聴いていくと患者の精神的な要素が見えてくる。

療法士はつい合理的な解決法や判断に意識が向きがちであるが、
まずは患者の気持ちをしっかりと共感し、
感情のまま受け止めることが大切である。
現実的な解決よりも先に、
気持ちをしっかりと受け止めるということは
患者にとって最も安心できることとなる。
患者の気持ちをしっかりと共感したら、
どのような部分にどういった言葉で説明すればよいかもみえてくる。

次に現実的な要素では説明が大切になる。
「今起きていること」「予測される経過」
「経過に関わる因子(不足の要因)」に関して、
患者は混乱していることも多い。
直接的に質問してくれる場合はよいが、
言葉として伝えることが困難な場合も少なくない。
その場合はこちらからあらかじめ説明することも重要である。

次に実際にその説明をもとにアプローチを行う。
仮説通りに改善することができれば、
患者のカラダは良好な変化が生じる。
例えば疼痛が誘発される動作をアプローチ前に行い、
アプローチ後にもう一度疼痛が誘発されるか確認する。
仮説が正しい場合、アプローチ技術に問題がなければ、
疼痛は減少もしくは消失する。
実際にそれを患者が実感し、
説明をすればより納得も得られやすくなる。

最後に総括した説明を行う。
アプローチによって生じた変化は一時的なものに過ぎない。
実際の症状は日常生活という圧倒的な時間により、
影響を強く受けることは言うまでもない。
そこで「療法士のできること」と「患者のできること」を
明確にする必要がある。
療法士は一時的にカラダをよい状態に調節することはできる。
しかし、日常生活の影響の方がより大きな影響があり、
経過に大きく作用することは言うまでもない。
患者も「どうすれば良くなるか。」に視点が向いているため、
「どうすれば悪くなるか。」には意識が向いていないことが多い。
アプローチによる改善も大切なのだが、
日常生活のどういったことで、
悪化しているのかが最重要であることを認識してもらうことが、
予後に大きく影響する。

カラダを「治す」ことに意識が向きがちだが、
「悪くする」ことに意識を向けることの方がもっと大切である。
患者とともに療法士もその意識を持つことで、
カラダをよい状態にもっていきやすくなるのではないだろうか。
そういった意味では「治す」という考えよりも、
「調節する」というニュアンスの方がより近いような気がする。

カラダはとても複雑である。
そしてそのカラダにはココロの影響も大きい。
症状に対して感情をしっかり受け止めながら、
どのように現実的に進めていくのか。
しっかりと伝えていくことが大切なのではないだろうか。
評価と治療の考え方

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔
岡山のクリニックで理学療法士として勤務。
“痛み”に対して
日常生活のコントロールの重要性を提唱している。