カロリーの嘘とダイエット

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〇〇ダイエット!
テレビでもよく聴くフレーズである。
これを食べるだけで・・・とか、
これだけでたった1週間で・・・とか。

しかし、1年経って
続いているダイエット法はほとんど聞かない。
また新しい〇〇ダイエットと、
またテレビで始めている。

視聴者の感度もだいぶ下がってきており、
以前ほど反応しなくなった感じはある。

そんな中で長く信じられているカロリー。
最近ではコンビニの食べ物にも、
表示されるようになっている。

実は研究者の間ではずいぶん前から、
時代遅れの考えになってきている。

「これはカロリー高そう・・・。」
とか気にしていたことが、
実は無駄になってしまっている可能性がある。

カロリーの歴史

まずカロリーというものは、
どうやって測定されていたものなのか。
そこから説明する。

はじめは1883年にルブネルという科学者が考案。
基本的な考えは今でも同じである。

食物の熱量 =
食物を空気中で燃やして発生した熱量
− 同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量

これを食物や各栄養素ごとに測定する。
元の方法はボンブ熱量計の中に、
乾燥させてある食品を入れ、
電熱線に電気を通して容器内の温度上昇を測定。
それを熱量に換算しカロリー数は測定される。
水1gを1°上げるのに
必要なエネルギーがカロリーになる。

さてこの測定法と得られたカロリー。
色々と疑問が出てくる。

カロリー測定の疑問

まず大気中の燃焼と細胞の代謝は全く違うもの。
待機中の燃焼は発熱と発火をともなう酸化反応。
物質の温度が発火点を超える必要がある。

身体の体温はせいぜい40°である。
40°では脂肪も炭水化物も燃焼しない。
身体の内部で食物が燃えているわけない。

この燃焼と細胞の代謝を同じように扱うのは、
そもそも論理に無理がある。

またカロリー計算が合わない動物だってたくさんいる。
例えば牛。牧草のみを食べ、500kg以上の体重で、
大量の牛乳を分泌する。

その牧草。植物細胞になるので70%は水。
残り30%の10-20%はセルロース。
そして何より牛はセルロースを消化も吸収もできない。
よってカロリーゼロ。
カロリーゼロで巨体となり、牛乳を分泌する。

実際には牛は消化管内にいる細菌と原生動物が、
セルロースを分解してそれを牛が受け取っている。

人間の場合も多くの腸内細菌がいる。
約100兆個とも言われ、
約60兆個の体細胞よりはるかに多い。
そして人間の糞便の半分以上は実はこの腸内細菌。
決して食べ物だけでない。
そこから考えても、

食物の熱量 =
食物を空気中で燃やして発生した熱量
- 同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量

この計算式がいかに当てはまらないか、
理由がわかるのではないだろうか。

カロリーの計算の嘘

ニューヨーク・タイムズでベストセラーになった
ジョナサン・ベイラー著のTHE CALORIE MYTHでも、
カロリーの疑問が話題となっている。

1977年から2006年までの間に、
人々のカロリーは1日に570kcalも増えている。
これが肥満や糖尿病、心疾患の原因と言われている。

これをカロリーに換算してみるとどうなるだろうか。
平均的な人で体重は208kg増える計算になる。
570kcal(1日)なのでそれを1年である365日で
20万8050kcalとなる。

2006年から2014年の9年で換算すると、
187万2450kcalとなり、
脂肪1gである9kcalで割ると1人208kgとなる。

それに対して、摂取量が減ったか、
運動量が増えればカロリー計算上辻褄があう。

しかし、カロリーが控えめになって
+300kcalとしても、9年で110kgとなる。
その通りな人はいくらなんでもいない。

また運動量が増えたのか。
これも考えにくい。
人々の運動量は年々減少傾向にあることは、
多くのデータから明らかになっている。

カロリー計算によるダイエットは
95.4%が失敗しリバウンドするのは有名である。
カロリー計算通りに体重は変化しない。
これはダイエットに関する
ほぼ全ての研究で証明されている。

カロリーは関係ない

満腹感を感じさせるホルモンである
レプチンの発見から、
太るのは意志の弱さでないことがわかった。

1990年インディアナ大学のウェイン・ミラーも
エネルギー摂取と脂肪細胞に関連性はないと発表している。
様々な研究から2009年以降カロリー計算は、
非常に時代遅れなものだと研究者の間で位置付けされている。

身体のエネルギーの貯蓄と消費は、
我々が意識でやる必要はない。
脳とホルモンが自動的にやってくれるもので、
視床下部が体重を調節し、
バランスを保ってくれている。
この体内の自動調節システムのセットポイントが、
何らかの状態で異常を起こすことが、
根本的な原因となっている。

脳の機能を低下させるものは何か?
ホルモンの働きを狂わせるものは何か?
こう考えると原因は食べ物そのものでなく、
私たちの体に影響する
その他の因子を考える必要がある。

満腹を感じるレプチン。
これは睡眠不足によって
働きが低下することがわかっている。

ホルモンの働きを狂わせるもの。
それはストレスの関係は有名である。
ではストレスの原因は何?
考え方によるもの?
それとも行動のやり方?
社会構造の問題?
まだまだ簡単にはいかない話になりそうである。

まとめ

カロリー計算はとても一般的になっているが、
実はもう時代遅れのものになっている。

食べた物と排泄物を燃やしてでた熱量の差。
そもそも代謝と大気中の燃焼は別物。
人間の体温ではそもそも燃えない。
カロリー計算通りに体重は増えたり減ったりしない。
食事の摂取と運動量の計算も当てはまらない。

身体のエネルギーの貯蓄と消費は
意識でなく脳とホルモンで自動的に行っている。
睡眠不足やストレス。
そういったものとの関連性を
より考える必要があるのではないだろうか。

1)Jonathan Bailor.The Calorie Myth: How to Eat More, Exercise Less,
 Lose Weight, and Live Better:Harper wave.2013
2)Zong G, Gao A, Hu FB, Sun Q. Whole Grain Intake and Mortality
 from All Causes, Cardiovascular Disease,
 and Cancer: A Meta-analysis of Prospective Cohort Studies.
 Circulation. 2016; 133: 2370-2380.
3)Mellen PB, Walsh TF, Herrington DM. Whole grain intake
 and cardiovascular disease: a meta-analysis. Nutr
 Metab Cardiovasc Dis. 2008; 18: 283–290.
4)de Munter JS, Hu FB, Spiegelman D, Franz M, van Dam RM.
 Whole grain, bran, and germ intake and risk of
 type 2 diabetes: a prospective cohort study and systematic
 review. PLoS Med. 2007; 4: e261.
5)Pollan, M. In Defense of Food: An Eater’s Manifesto,
 New York, NY: Penguin Books, 2009.

Photo by Pablo Merchán Montes on

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。