交通事故は本当に増えているのか?

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毎日、目を覆うような事件や事故を目にする。
大きな事故によりたくさんの命がなくなった。
殺人事件があった。テロがあった。
「世の中がどんどん悪くなっていっている。」
「最近は怖くなったから安心できない。」
そんな声を耳にする。
果たして本当にそうなのだろうか。
こういう時は統計で確認することが大事である。

交通事故死者数の統計

内閣府交通白書で交通事故死者数1)を確認してみる。
1959年に事故死者数は1万人を超え
1970年にピークとなる1万6000人越えとなっている。
そこからはどんどん減少してき、
2017年には4000人を切っている。
要因としては車の安全設計によるものが多い。

日本の死亡事故の確率

日本の死亡事故の確率を計算してみる。
日本は毎年4000人前後の交通事故死が出ている。
日本の人口は約1億3000万人として
1年の内に交通事故で死亡する確率は

死亡者数(4,000人)÷人口(130,000,000人)×100=約0.003%

平均的な町で年に1人の交通事故による
死亡があるといった割合となる。

日本人の生涯においての死亡事故の確率

日本人の平均寿命を80歳と仮定してみると
日本人が一生のうち交通事故により死んでしまう確率は

1年間の死亡確率(0.003%)×平均寿命(80年)=0.24%

日本人は1000人の内2人が
交通事故が原因で死亡することになる。
知人に一人は交通事故で死んだ人を
知っている割合になる。

その他の事件・事故等の確率

その他の死亡する確率を見てみると、
殺人     0.7%
自然災害   0.1%
テロ     0.05%
飛行機    0.001%2,3)

ちなみにオレオレ詐欺で騙される確率は0.008%。
人口で考えるとかなり少ない数字になる。
もっとリアルになる数字で言えば、
ニートになる確率   2.2%
正社員で無くなる確率 28%
このほうがよっぽど確率高いし恐ろしい。
ちなみに転職で給料が上がる確率は55.6%
以外に行動を起こすことで、
良くなることも現実には隠れている。

ニュースの情報に影響されやすい理由

どうだろうか。
実際の統計で見てみると、
テレビの情報から受ける感覚と
実際の数字の違いを感じるのではないだろうか。

これは”行き過ぎた一般化”と言われる4,5)。
認知の歪みの一つと言われ
アーロン・ベックが基礎を築いた概念である。
自分の心を守るため、
人はネガティブに考えようとする本能がある。
それは心を守るが故に、
冷静な判断ができなくなるという欠点もある。

女の子に一度告白してフラれた。
多分、また誰に告白してもフラれてしまうだろう。

あの子はこないだ挨拶しても返してくれなかった。
きっとまた無視されるかもしれない。
私から挨拶するのはやめておこう。

次やっても絶対にうまくいかない。
頑張っても無駄だ。やめておこう。

この話を聞いてどう思うだろうか。
人から聞くと「そんなことはない。」
「たまたまだ。次は大丈夫。」
なんて励ましたりしてあげたくなる人もいるだろうが、
自分でもこんな風に思ったことは1度や2度あるだろう。

人はネガティブなものには
心を守るために偏った考えを持ちやすい。
それにより心を守るため、
リスクを守るための本能が生じる。

事実は無機質なものでそこに意味はない。
人間がその事実に対して
”良い”だの”悪い”だの意味づけをする。
事実には”良い”も”悪い”も共存する。

プロスペクト理論

人は”得られないという損失”より
”持っているものを失う”ことを恐れる。
これをプロスペクト理論
(ダニエル・カーネマン)と呼ばれる。

これが多くの人が利益を得ることができず、
損失を防ぐことを過剰に意識してしまう理由である。

例えば「5万円もらえるかもしれないが、
2万円損するかもしれない」のと、
「1万円必ずもらえる」のであれば、
後者を選ぶ人が圧倒的に多い。

株式投資でも1度損した経験があれば,
恐怖心が残ってしまう。
株価が下がったら見ないふりをして、
さらに損失を拡大してしまうし、
株価が上がっても
「すぐに下がるのでは・・・」と考え、
すぐ売ってしまう。
結局、儲けることはできず
損ばかりしてしまうのは、
この心理が働くからである。

リスクの考え方

リスクは危険度と頻度によって決まってくる。
危険度が”質”、頻度が”量”と捉えられる。

危険度が高いとは危険の度合いが強いことを示す。
もしそし遭遇すると命の危険が高いものを意味する。

頻度が高いとは確率が高いものを示す。
日常的に遭遇する可能性の高さを意味する。

リスク = 危険度(質) × 頻度 (量)

人は悲観的なものに注意が向きやすいため、
危険度の高いものに対処しがちである。
しかし、頻度が低く
確率の低いものばかりにとらわれると、
日常生活で遭遇しやすい、
むしろ対処すべきものに対応できなくなる。

リスクマネジメントを考えるとき、
保険をかけるときの参考になるのではないだろうか。

まとめ

ニュースによる悲観的情報は、
どうしても偏った認識を持ってしまいがちである。
これは自分の心を守るため、
人はネガティブに考えようとする本能がある。
心を守るが故に冷静な判断ができなくなる

人は”得られないという損失”より
”持っているものを失う”ことを恐れる。
悲観的なものに意識は向きやすいものである。

リスクは危険度と頻度の掛け算。
危険度が高くても
頻度が低いものにとらわれすぎていないか
注意が必要である。

物事の本当の事実を知るためには、
常に客観的である必要がある。

1)道路交通事故の長期的推移 内閣府交通白書.2015
2)ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング:
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを
乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣.日経BP.2019
3)アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)による調査.2017
4)Grohol, John. 15 Common Cognitive Distortions. PsychCentral. 2009
5)デビッド・D・バーンズ 2004, pp. 25-26.

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ABOUTこの記事をかいた人

藤原大輔 岡山のクリニックで理学療法士として勤務。 "痛み"に対して 日常生活のコントロールの重要性を提唱している。